存じません/笹子ゆら
 
履き違えた破壊衝動にプラスアルファで誰かの肩書きが消えていなくなる
その言葉に騙されたのならば油断していた彼らが悪いのだ
編纂する余裕もない灰色の脳みそたち


暗号化された社会に押し込められて気付いたらもう袋のネズミで
耳から耳へと流れ込んでくるカタコトの生命活動をどうにかしておくれよ


もううんざりだ
白々しい真似で生きていけると思わないでくれ
償う予定の罪を偽造して作り上げたのは顔も見えない何処かの誰かで
いつか溢れだす過程に身を任せるつもりらしい



「存じません」
「存じません」
「……何も」



この平成で身勝手に構築してゆくシン
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