そして一人で/番田 
 

私はいつも 流れる時の中で
何にも言わないだろう きっとそこに何もないから
いつも自分で ぼんやりと考えていたことが
私がいつもそこでやらなければならないこととして
ぼんやりと 輝いていた


だけど そこで 絶対に必要だったことを いつも忘れた
逃げ出した私は 鳥取の港の端で
韓国とロシアを結ぶフェリーにいつのまにか乗っていた



いつも眠気を抱えた私には穏やかな風が吹いていた
そして私は遥かな時代の荒波を乗り越えていった


船の上で何も思うこともなく
どこまでも何を思うこともなく進んでいくのだろう



津軽海峡のきらびやかな光の色の流れが
遠くに見えた だけど いつも 私には何も見えなかった
好きな人がいることを 忘れさせた
何もない現実の世界を感じていた


社会の中の枠組みの中で
ぼんやりと 私はきりのないゲームをしていた
そして私は 浮浪者になることを決意したのだ
子供の頃の夢をつかみ取るにはあまりにも遠かった


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