そして一人で/番田
私はいつも 流れる時の中で
何にも言わないだろう きっとそこに何もないから
いつも自分で ぼんやりと考えていたことが
私がいつもそこでやらなければならないこととして
ぼんやりと 輝いていた
だけど そこで 絶対に必要だったことを いつも忘れた
逃げ出した私は 鳥取の港の端で
韓国とロシアを結ぶフェリーにいつのまにか乗っていた
*
いつも眠気を抱えた私には穏やかな風が吹いていた
そして私は遥かな時代の荒波を乗り越えていった
船の上で何も思うこともなく
どこまでも何を思うこともなく進んでいくのだろう
*
津軽海峡のきらびやかな光の色の流れが
遠くに見えた だけど いつも 私には何も見えなかった
好きな人がいることを 忘れさせた
何もない現実の世界を感じていた
社会の中の枠組みの中で
ぼんやりと 私はきりのないゲームをしていた
そして私は 浮浪者になることを決意したのだ
子供の頃の夢をつかみ取るにはあまりにも遠かった
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