白い夏/吉岡ペペロ
 
女と高台までのぼった

簡素な公園がそこにはあった

商店街で買ったトッポッキと貝を食べた

ソウルの町を一望しながら舌をからめた

白い夏だなと思った

白内障ってこんな感じだろうか

町並みはもやに輪郭だけを見せていた

女の口のなかは自由だった

まだ午前中だというのに大蒜の味がした

年がら年中この味をさせているのだろう

そのことだけが欲情させた




戻る   Point(3)