八月の光/カワグチタケシ
 
かなきやあいけません

真昼の太陽に向ってさあみんなで燻製になろう
忘れないうちに電球を取り換えよう
二人だけの秘密忘れないうちに

耳の穴に水が入って君の声はよく聞こえないけれど
君は遊び疲れて眠ってしまったのだろうか
確か今日はまだ八月のはず
夕立が砂浜に虹をかける前に
過ぎ去った日々に想いを馳せよう
あの花束はどこへ行ったのだろうとか
あの少女達はどこへ行ったのだろうとか
そんな事を考えよう
明日に向かって走りだすのはやめて

八月の光の中
誰も気付いていない
最後の八月の光の中
ビーチは無軌道な若者で一杯


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