瀬戸物/ああああ
 

世界で最初に本とよばれたものは紙の束ではなく、粘土でできた焼き物だった。渇いて固まった土のようなみすぼらしいものを想像してはならない。それは白くて半ばガラス化した陶磁器である。本という字がきざみこまれ、自分自身を本と名付けている。中心に亀裂が入っている。最初私はそれを世界を分かつひびのようなものかと思った。しかし実際には末端と末端をつなぐ腕のような役割を持つものであった。

それがすなわちエダであった。

エダにはツタがからまっている。ツタのせいでエダの形がよく分からない。エダもツタをうとましく思っているのではないだろうか。

まだツタが細く短かったころ、エダはツタにテを差し伸べ
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