ハットリさん/チカモチ
いた。「介護施設で働いたことなんてないし、不安もあるけれど、両親は喜んでくれているし、子どもを産んだときも実家の近くにいた方が何かと楽なので。」
これがハットリさんじゃなかったら、内心「なんてあつかましい女なんだろう」と思っていたかもしれない。それは全部、あなたの都合ですよね、と。でも私はハットリさんのことがとても好きだったので、これっぽっちも腹が立たなかった。ただ、隣に座っているハットリさんが静かに幸せをかみしめている姿を見て、ああよかったなぁと思った。
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良い悪いの判断なんて、結局すごく主観的でいいかげんなものなんだな、という話でした。会社の中でハットリさんは一番親しみを抱いていた人だったので、もう彼女に会えなくなってしまうのは、とても寂しいです。
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