夏の記憶/CAMILLE
金色のドラえもんを夜の闇に葬り去る夏の日
もっと西の方では現実的な話が起きていた
太陽が
土やアスファルトなんかを
光でもって強引に温めていた
そして
うどん屋に立ち上る湯気
人々はうどん屋に行列をなし
レポーターに化けた怪人淫乱小僧が
女性客の手をさも正当な行為かのような顔をして
じゅんばんに握っていった
向かいの呉服屋からそれを見ていた俺、
美しい真実の心をもった少女のじゅんばんになったとき
いきなりにじゃっと胸が冷たくなって
半袖の腕から出た前腕の
世間知らずな立毛筋がいっせいに収縮した
少女は何食わぬ顔をしてレポーターに会釈し
ずんずんうどん屋に入って行く
何時の間にか呉服屋になっていた俺は
「いらっしゃいませ、アンティークへようこそ」
うろ覚えの挨拶で
向かいのうどん屋の家屋がいずれ朽ちて腐葉土になってしまうのを
ずっと見ていた
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