あおいそら/寒雪
 
の世からいなくなってしまうのなら
どうして
わたしは
こんなに
あなたの
心の欠片をかき集めたくなるのかしら


太陽の熱で温まった路上
無残な姿でぼくの前に横たわったきみ
あなたがすぐそこにいるのに
どうしてあなたの温もりは
地球の裏側まで旅立ってしまったのかしら
そう言ってあさっての方向に手を伸ばして
それでも微笑を崩さないで
見えない視線をぼくに向けようと
力を振り絞ろうと躍起になった
数センチの距離はぼくときみにとって
シリウスを手につかもうとするみたいで
永遠に埋まらない
ぼくはその時に初めて気がついたんだ
きみの抱えていた寂しげな体が
仮初めでなにも伴っていないことを


久しぶりに
天を仰いだ今日
あの日を真似したみたく
きれいに晴れ上がったあおいそら
どこまで続いているのかわからない
空の切れ端に向かって
手に持つ見えない花束を投げつけた


探しているものは
未だに見つからない
永遠に見つからないかもしれない
そんな予感がした
きれいなあおいそらのした


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