夏の意識/御笠川マコト
 
ギュッとどこかに押し込んだ
ぬるい昔の恋を
こっそり取り出したみたら
まだ賞味期限前
少し苦いけれど
少し酸っぱいけれど
それでも
あの頃の二人が好き

暑さに揺れる街の上
雨雲が近づく
君のTシャツの胸に
落ちる雨粒に妬いてた
嘘をつけたら良かったのに
オトナだったら良かったのに
それでも
あの頃の二人が好き

夏の意識が
僕の急所をくすぐる
きっと単調な今日に
少しスパイスを落としてくれる
案の定誰もが
少しスローな真夏日
ぬるい昔の恋に
背中を押されてみるのも悪くない

ちょっとずるかった
自分を悔やむ訳ではない
ぬるい昔の恋が
惜しい訳でもない
ただ
あの頃の二人が好き
やっぱり
あの頃の二人が好き

戻る   Point(1)