濡れ髪/藤鈴呼
 
また 汗だくに なりながら
上空から 熱風を 翳す

持ち上げる手も
乾き始めた細い毛も
鬱陶しくて 眠く なるまで

何かを失ってしまったような 錯覚や
何かが乗っかったような 重苦しさで
頬が 歪む

私の涙が 横髪に 張り付いて
離れない

ドライヤーでも 扇風機でも
乾かないのです

故に 泣きたくなってしまう 夜

あの夜から 私
朝シャン派に なりました

日差しは 無理矢理にでも
前向きな思考を 連れて来るし

そもそも 時間が無いので
余計なコトを 考える必要も
無いのです

洗う前の ふわふわだった 髪が
妙に ネコっ毛
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