ソファー/草野春心
 


  このソファーで母が寝ていた
  昼に
  半刻ほど
  低い音で鼾をかいて



  その後は僕が寝ていた
  このソファーで
  黄昏時
  ふたつの眼を
  天井に据えたまま



  革は傷み
  弾力も失われた
  このソファーは何かを知っている
  夜
  窓から月光が射す



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