指/blue
あたしがみる夢は
いつも
途中で真っ黒になる
それは空から突然
真っ黒な布をはらりとかぶせられたように
やっと 電話が通じた途端
やっと あの人が現れた途端
やっと 抱きしめられた途端
あたりは突然
真っ黒になる
その中で
あの指だけが
暗闇の中
ゆらりと浮かんでいる
どさくさに紛れて
あたしに触れようとする指
投げやりな愛撫で
あたしがなびくとでも思っているような指
ああ その指の美しいことといったら
あたしはためらうことなく
その指を噛む
ぶつ切りの夢をみるのに
疲れて
例えば
何百年か先に
白い骨だけになっても
あたしは その指に執着する
噛むのを止めないあたしの
口の中に流れ込むものは
何なのか
そんなことを考えながら
あたしは
真っ黒な夢の中にいる
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