未明/木立 悟
 


路の灯りが
土を照らしている
土の下には
鳥が眠っている
目覚める鳥にも
目覚めぬ鳥にも
朝は
羽を置いてゆく



光のなかの穂
花のなかの舟
うなじ
呼び声
縦の羽
路を流れ
建物の間の空を流れる



青すぎる青の棲む空に
鳥は触れるのが好きだった
触れるたびに変わる花が好きだった
曇を流れる音たちが
透きとおっては落ちてゆく
その一瞬を見るのが好きだった



羽があふれ
土と窓を洗い
ほどけてはほどけては散るもののなかから
けしてほどけることのないものが現われ
青く青くひらめきながら
曇の姿をつらぬいてゆく



羽のかたちの傷から降る音
土の下へと伝わりゆく声
にじむ街を映した窓に
雨の光の鳥を見ている
小さなまぶしさの目のひとのため
朝は
深緑を置いてゆく







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