殺人の否定/salco
 
人は何故、殺すのか
人は何故、殺せないのか
普通の者は
殺される側への意識的感応で踏み止まる
が、普通の人間も
対象を下位に置く精神操作なしで、人は殺せるのだ
相手を敵、脅威と見做さずとも、同等と見做しても殺し得る
大義一つで優位の者も、憎悪感情なしでも殺し得る
「命の大切さ」などという
文房具程度の概念では調服できない領域がある
生存本能は必然的に快をしか求めない
その強い衝動は、彼此の弁別や
「人生を棒に振る」刑罰への怯えだけでは抑制し切れないものだ

ところが殺戮が正義とされる唯一の場で
過酷な新兵訓練を経て徹底的に自意識を矯正されたにも拘らず
引鉄さえ引けな
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