おふどう天使/吉岡ペペロ
 
あのころのぼくをときどき思い出す

お寺で不動明王をみた

石でできたお不動さんだった

こわい顔というより

こっけいなほど醜い顔をしたお不動さんだった

つぎの日図工のじかんに絵を描いた

ぼくはお不動さんの絵を描いた

見たままを描いていたらしっくりこなかった

ゆきづまって発想をかえてみた

醜い顔をつぶらな瞳の少年にしてみた

への字の口を微笑ませた

剣はそのままにして鎖はなくしてみた

白いシーツをまとわせて

背中の炎を天使の羽にかえてみた

絵の題名はおふどう天使にした

せんせいからはすこし褒められた

あのころのぼくをときどき思い出す



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