きみのうしろに/草野春心
 


  きみのうしろに
  きみが見える
  脱ぎ捨てたシャツのようにさりげなく



  きみのうしろに
  きみの母や父が見える
  ひっそりとしたブランコや
  いくつもの手のぬくもりが見える
  ふくらんだ鞄のように思い深く



  きみはまるで
  タイムマシンのようだ
  きみのうしろに戦争が見える
  詩人たちの意味ありげな会話や
  石器時代
  ティラノサウルスが見える



  きみのまえに街はそびえ
  世界はそこかしこで波打つ
  歩き慣れた道のように
  ぼくたちは出会うことをおそれない



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