I am “I am”/長押 新
牛と豚を書いて
そのための斧もプレゼントした
ピストルも必要だった
翌日朝早く頁をめくると
チューリップの線を解いて
石柱に繋がれた牛が
赤ん坊に乳を吸われていた
牛も豚も陽気にピストルの木の陰で涼んでいる
僕は昨日の夜には
ママの作ったビーフシチューと
アップルパイを食べていた
だからどうしても彼女にも
温かくおいしい料理を食べてほしくて
鋭い刃のナイフを送った
それでも彼女は木の種を植え
実った果実を食べている
僕の差し出した御馳走を食べずに
彼女は歌を覚えていた
ナイフが音符になったのを
木の葉が音符になったのを
僕は静かに見つめていた
僕が大人になったころには
この教科書は森になるんだろう
森の中には文字と数字が解けた
動物たちがいるだろう
もしも彼女が寂しそうなら
僕は男の絵を書こう
そこから僕が生まれるだろう
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