五十のオトが描く夢。/aria28thmoon
 
あたたかな
彩りの
うつくしい
絵を描きたいと
思ったけれど

哀しみは
キャンバスを
暗い色彩に染め
決して
壊れることはなく

さやか水流した
静かな時は
すうっと
船上から堕ちて
底まで沈んでゆく

たくさんの
小さな想いが
紡がれるのは
天気の良い日
遠くに音が響く時

涙落とす
にんげんの
濡れた
音色まで
乗せてくような風が

遥か彼方
広場の草花に
吹き付けて
碧海を描く筆の
穂先となった

街は遠く
三日月浮かぶ
睦月の空
迷路みたいな
森の中

安らぎを求め
夢を見て
呼んだのは

楽園の住人
林檎の実に
ルビー色のキスして
レクイエムさえ
朗々と唄うような

私の憧れ
を、描く
んだ。
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