鱗/
ゆうさく
「私」という少年の、なめらかに刻まれた、とめどない夏の血流の跡に蒼がゆっくりと続いてゆく。
鳥たちが空にへばり付いているころには、いつかの母の乳房が錯乱して海ぼうけ。
景色から突出している片仮名を切り落としては、空気をリズムに例えた。私は大人になれない。
細胞がうごめいた。アイデンティティを張り巡らせる。今更、呼吸の仕方を知った。
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