アンドロイド/未完
 
のない言葉が頭をグルグル回っている。
私の前で彼女にメールしないで。
彼女のためにデコメなんて使わないで。

結局、私は彼女に会うことになる。
そんなこと望んでいないのに、彼は私を連れて行き、彼女に私を紹介した。
そして、彼女の目の前で堂々と私を見つめ、いつものように触れてきた。
さすがに彼女は怒った様子で、「あなたって、本当にそういうの、好きね」
と口を尖らせた。彼はそんな彼女を気にする風もなく、
「すごく欲しかったんだ」と自慢そうに答えた。
それから、手に入れるまでの経過や私のことを話し始めると止まらない彼。
彼女にとってはおもしろくない話のようで、だんだんと表情が曇ってきた。
それに気がついた彼は慌てて、私をポケットに入れた。
そうだよね、私はあなたの携帯電話(スマートフォン)だから。

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