フライングV・クロック。/菊池ナントカ
 
もう一人のガキは靴も脱がせないで電車の外を見ている。
母親は携帯に夢中。
フライングVの弦が、また1本切れた。


誰か頭痛止めてよ。
誰か頭痛止めてよ。
誰か頭痛止めてよ。


大事な大事な、あの娘を亡くしてしまった。
産まれてこなけりゃ良かったんだ僕も。

ところでミナサマ、何がそんなに可笑しいのですか?
先程からピエロのように微笑んで。

あぁ、そうか。
パーティーが終わったんだ。
フライングVの時計が29時を差している。

清々しくない朝、
おはよう。


戻る   Point(1)