テレビの時間/
たもつ
何も無いところに
雨が降り始めている
父はもう誰とも
目を合わさなくなった
僕は今日、やっと
台所の隅でテレビになれた
独り言のように
延々と番組を流し続けた
すべての放送が終わると
父と僕の亡骸は
鉛筆や消しゴムなどと一緒に
筆箱に捨てられた
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