紅鶴/非在の虹
 
紅鶴をご存知だろうか
災厄という災厄を一気に引き受け
苦笑いをしている
あの嫌な鳥である

この鳥はしかしなかなかに美しい
羽など一枚も生えていないし
尾もない
何よりこの鳥には頭部がない

実は私は一羽をひっそりと飼っている
深夜ひとりで聞く紅鶴の鳴き声
私は人知れず感動に涙するのだ

この事を誰にも知られたくない
知った者は鳥を奪いに来るだろう
きっと私を殺すだろう
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