安泰/はるな
きのうは
鯛や牛肉をたべ
上等の酒をのみ
なめらかな衣服で
わらっていた
わたしが
三秒に一回
情事を思い出すことが
いけなかったとは
思わないけど
その考えが
救済のように思えたのには
ちょっと戸惑った
たとえばそれは
医師が死を呼び
神父が麻酔を打つようなもので
なにごとにも
ふさわしくないものが
あるのだと
思いました
大人
と
いうものに
およそふさわしくない
わたしが
服をきて
そのような振舞いをすることを
はやく
だれか
糾弾してくれたら
すこし楽になりますのに
へばりついた諦念や
遠い世界のこと
それらを
い
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