サロモン屋敷/salco
あるいは二百年遅かった
旅行者の落胆らしく
ひっそり閑と
その主はまた
お静さんのガチャガチャと運び来た
コーヒーを流し込みつつ書物に目落とし
ひねもすキーを叩いている
例えば室町文化について
あるいは紀貫之の人となり
土曜の夜にはモサド時代のマブダチが
ピンポン押して裏の口から入り行く
サロモン屋敷
板目も侘な表札に「サロモン」と
仮名で律儀に書いてある
後ろにはライムグリーンのテューダー調
お向かいは
べヴァリーヒルズ的スパニッシュ風
ジャパニーズ宅
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