いない かたち/木立 悟
 






岩をめぐる路
月もまためぐる
ひとつめぐるたび
消えては現われる


つむぎ 投げ出し
雨が持ち去る
夜が来ても
暮れのままの息


雨の手足
屋根のけもの
まわる水 その上を
まわる水


失くなりて
失くなりて
結びめは空に
消え去りて


夜にはまだ夜があり
灰の指に湿っている
曇の一瞥
星ひさぐ冬


音をひとつ噛み
原は原に鳴る
水の底の指
鉱を見る鉱


影を持たない灯の上から
夕陽と影は落ちてくる
鍵盤を押し
共に流れる


光のきざはし
同じ家のつらなり
はざまはあふれ
通りを埋める




























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