近松門左衛門の町/非在の虹
 

ト なる そして私のフラストレーションにみあう巨大化をしてくれる 
さっそく私たちは恋人たちのすることを始める 
そのさいの動きは、重力を感じさせない極めて文楽的である
ト 町行く人々もようやく解ってくれたようだ 
体液も血も流れるものは流すべきだ 
ト 賛辞といっしょに唾を吐きかける(作り物を放り出し)
「しんじゅう!心中!」
この時のために 私は恋人を待ったのだ 
この時のために誰かが私の恋人にならなければならないのだ 
だが 私たちは思いもかけぬ速さで黒衣たちによって定式幕にくるまれ
運び去られた
私の叫び声は人々に聞こえただろうかそれはすなわち こうだ
「私こそ近松門左衛門なのだ」 ト。
戻る   Point(1)