近松門左衛門の町/非在の虹
ト なる そして私のフラストレーションにみあう巨大化をしてくれる
さっそく私たちは恋人たちのすることを始める
そのさいの動きは、重力を感じさせない極めて文楽的である
ト 町行く人々もようやく解ってくれたようだ
体液も血も流れるものは流すべきだ
ト 賛辞といっしょに唾を吐きかける(作り物を放り出し)
「しんじゅう!心中!」
この時のために 私は恋人を待ったのだ
この時のために誰かが私の恋人にならなければならないのだ
だが 私たちは思いもかけぬ速さで黒衣たちによって定式幕にくるまれ
運び去られた
私の叫び声は人々に聞こえただろうかそれはすなわち こうだ
「私こそ近松門左衛門なのだ」 ト。
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