氷/
草野春心
母親が
朝食を作る途中で氷になっていた
フライパンと
目玉焼と
五十二歳の痩せた体が
透明なものでひとつに包まれていた
トイレの戸を開けると
やはり父親も氷になっていた
広げられた新聞紙
干上がった瞳
ペニス
窓の外で川が流れている
物凄い速度だ
やがて
どこからともなく
一台の車がやってくるだろう
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