夏に降る雪/aria28thmoon
残暑の厳しい、晩夏の午後だった。
暑さでぼんやりした頭を無理矢理働かせながら、せっせと黒板の現代語訳を書き写す。
ふと、窓の外を見た。
「――えっ?」
声に出してしまっていた。
皆の視線がこちらに向かう。
「どうした、高階」
「え、いや、あの……雪が」
しーん。
数秒後の、爆笑の渦。
当たり前、か。はは。
「雪ってお前なぁ……暑さで頭やられたか?」
「……かもです」
「しっかりしてくれよ〜」
テキトーにギャグにしておいたけど……確かに雪が、降ってたんだ。
どうしちゃったんだろ、私。
それからずっとそのことばかり気になって、授業そっ
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