傑作を手にする/itsuki
 
あなたはただただ文章で、実体をもたぬからだを選り抜きの字面ばかりで装丁した、 みみざわりのよい、そうしてくちあたりのよい、あなたはそのような崇高なる文章で


あなたの形は女子だった
陰鬱とすこしばかりの軽蔑をその狭い額に込め、ほっそりとした首に予感的な魅力を含む
髪は短くてもそうでなくても良い
脹ら脛のない脚と猫背ぎみの姿勢が一見して目を引くが、ふぞろいな頭蓋・まだ膨らみの浅いむね、一本だけ折れた爪など、 目をやればやるほどに欠如による清潔さがあらわれてくる
あなたは女子だ
蝶でも魚でもない女子、口内が果実で詰まる、ひたすら傷つくばかりの女子だった
いつの日も
まさしくいつの
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