七月の空ku-/御笠川マコト
 
空ku-に描け、と云われ
空ku-を見つめてきた
結局何も描けず
人の群に
逃げ込んできただけだ、 俺はね。

急に来たよ
凄い夕立だ
埃っぽい私鉄電車の駅前なのに
思い浮かぶのは
潮臭い海岸
だから悲しいくらいに好きなんだ、 水の臭いがね。

空ku-を読め、と云われたが
空ku-に何も見えなかった
そして
結局右の掌をながめてしまう

夕立にずぶ濡れになりながら
声をあげて走る
半袖シャツの高校生達と
水の臭いに
溺れそうな俺とを
埃っぽい七月の駅は
ざっくりと抱えて在る

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