熱/山岸美香
夜はいつだって熱を帯びる。
風呂上がりに、締め付けの緩い軽い服を着て、布団に仰向けに倒れる。
微熱のする携帯電話を手に取って、寝転びながら下のつま先の方を見つめた。
胸は服の上から真っすぐに私を主張している、肉を持つ膨らんだ腹と背骨が、定められた曲線になって身体を繋いでいる。
夜は身体が暑い、眠る前のしばらくの時間は皮膚の中が熱い。赤い顔と腕、閉じようとするまぶたの裏腹に、血管が広がっている。
空の方を向いて息を吸う。
夜はいつだって熱を帯びる。
まぶたを細めて呼吸をした。
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