杞憂/あおば
 

ケータイがあるのに気付き
ケータリングサービスを利用しようと考えたが
今すぐには間に合わない
少し乾いた草に座り
力無く東の空を見ていたら
大きな赤い物体が静かに現れて
こっちの方に向かってくる
アレが噂の大隕石かもしれないと思ったが
呑み込むには熱過ぎるし噛み砕くには堅すぎる
こどもの玩具に少しだけカケラを頂いておこうかと
欲を出して立ち上がると
送迎用マイクロバスが農道脇から顔を出し県道へと向かう
運転しているのは定年退職後にも業務委託契約で不定期の運行だけを任されている個人事業者だと分かる
退職金で購入した電力株価が少しだけ上がったので
気分よくアクセルを吹かしているみたい





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作

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