杞憂/あおば
 

喉が渇き腹が空いているのだけは確かなようで
暑いので唾を飲み込む余裕すらなくなった
水が飲みたい
なにか食いたい
食えるならば
木の根を掘っても囓りたい
木の芽を摘んでも囓りたい
とぼとぼと
ずぶずぶの沼地のような水田地帯の畦道を行くと
遠くで蛇が何匹か寝そべっている
無表情にこちらを見るから
久しぶりの獲物だと
気づかないふりして近づいた
稲株の近くではトノサマガエルが息を止めてじっとしている
蝸牛も気づいたのか動きを止めた
空にはトンビがけだるそうに旋回するのみで
日が陰っても知らん顔
枯れ枝を探すが見つからない
小石もない
ここは整備された水田地帯なの
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