饗宴のひと/恋月 ぴの
 
いようもなくて

永遠と回り続ける換気扇のうなる音は
腐肉にたかる無数の銀蠅の羽音にも似ていた




告別式で出逢った喪服の若い女性
あくまでも凜として

参列者の誰もが思わずたじろいでしまうような気迫を感じさせ

喪主を演じきる

そのためだけに彼女は生きながらえようとしているのか

襟足から覗く透き通るほどに白いうなじは
執念の
或いは情念の

血臭さに溢れていた











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