ハンカチ/
乾 加津也
くれる恥には
苦笑いの態を装いながらハンカチでやまない汗をぬぐいます
一応そこから
丸い呼吸で磨かれたもうひとつの一日がはじまって
いまはこれでいいのじゃないかといつしかその場をやりおおせるので
だからどんなものを忘れていても
毎日必ずハンカチだけは取り出せるのです
(わたしのくらしは こんなところです)
+ + +
(うるさい命を最期まで鳴きつぶす蝉のせいで)
義父さん
今日もずいぶんと暑くなりそうです
戻る
編
削
Point
(20)