杭と碑/長押 新
突き刺さった杭の代わりに、あなたたちのその細い骨が刺される。
まだ墓ではない。
杭のために動くことが出来ずに、頭と口を交互に動かしながら、わたしはいた。
水槽に沈められたり、瓶に閉じ込められるように、耳鳴りがする。
盛り上がる、あるいは膜を破りあらわれるように、黄色い腕が、伸ばされ、胸に触れる。
手は、開かれて、幸いにも、痛みが、意識を導いていた。
ひきつけられるような痛みに、あなたたち、が現れるまで、全く気がつかないで、そもそも、わたしは何故立たされているのか忘れていた。
(おさなかったころから、きょうふしていた。ははに。ははに。ははに。こーらをあたまからかけられたとき
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