綴る、ための/いっと
 
前方に目を向ける 
無数の平行線のはずが、 
辿ると 
触れている? 
本当に? 
一年前を信じられなくなる 
一週間前を信じられなくなる 
昨日を信じられなくなる 
一分前を信じられなくなる 
一秒前を信じられなくなる 
刻むこと を 恐れながら 
〈破裂〉 
「ねえ、もう少しゆっくり歩いてよ」「うん」「歩くのはやいよ」 
「うん」「うんじゃなくてさあ」 
「」 
「え?」 
「」 
「何て言った?」 
光より速いものは無いだなんて、そんな「言葉」は信じない。 
今、触れているもの、に 
収斂、していく 
全てはそこから生まれたので、あり 
全てはそこで終わった、のだ 
あらかじめ決められている 
と同時に 
全ては手中にある 
(これからのための) 
(明日の夕飯のための) 
(来週の天気のための) 
もう離さない、と 
許しを請うように 
暖かな人差し指で 
空に綴る
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