ラブレス/
DNA
ここからは白いフィルムだ
(たとえば月の陰をゆさぶり湿りを失ったおれたちの
舌さきがましろい欲望のうえをふたたびゆっくりと
歩いて行くとき 青ざめた吐息が決して交じり合う
ことなく球体の暗い部分をただただ曇らせていると
しても、だ。迂路へ、迂路へといざなって沈 黙を
しいる頭骨はいまだ生まれたことのない濡れそぼっ
た三白眼の奥で共鳴する。乾ききった眼球の溢れだ
した校庭で、
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