虹のない/あるせいかつ/コーリャ
わらない
いつでも
青空は石版みたい
カフェでローストポークを食べる
友達は死人について話していた
窓ガラスに虹が写りこんだ
ふりかえれば
そこにはなにもない
青い空があるだけだった
たぶん
いずれにせよ
象は水を与え続けている
それが止むまで世界は終わらない
どれだけ不確かだろうが
あなたが一生いなかろうが
世界がほんとは球体だろうが
象たちが
いるかぎり
世界はどうしようもなく
終わらない
だから
とうめいな水の降雨のあと
とうめいな虹が
石版に刻まれていく
それを見てみぬふりをして
思い出をすこしづつ
忘れていく
それがぼくらの
かぎりあるせいかつ
戻る 編 削 Point(17)