door/美砂
 
ぼくの前に
ほんの少しだけ
あいたドアがあって

あまりにも少しだったから
ドアのむこうがわは
みえなかったが
ドアはたしかにあいていた

そのうち
あいたドアから目をそらせて
あいていることを忘れようと思ったが
風がふきこんでくる

ぼくはドアをしめようとした

だがしまらなかった

それはしまらないドアだったから!

ドアはあいたまま
ほんの少しあいたまま
ぼくは
しめることができない!
ゆくこともできない!
なにもみえない!
だが
あいている、
あいている、
ずっと
あいている




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