無茶が出来ないヒトが叫ぶ/御笠川マコト
ヒトには
ふたつの種が存在する事を知った
無茶が出来るヒト
無茶が出来ないヒト
俺は
自分が無茶が出来ないヒトたることを
毎朝のように嘆き
この歳になって
後悔する事件のないことを
後悔している
きのう久しぶりに会った
おまえが
無茶が出来るヒトだと
気づいた時の、劣等感
ツクリエガオの裏に
見え隠れしただろう
無茶が出来ないヒトは
存在する術として
小石を積み重ねて
地味な色をした
巣をつくる
タイクツ、という棘を
フツウ、という泥で
隠しながら
通勤電車の
扉が開いて
無茶が出来ないヒトの
日常の幕が上がる
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