よく訓練されたウエイター/はるな
 
ぼを持っているよ。
と、言った。
友人は、ちょっと顔をあげて、また目線を下げた。
それから、ぐるりとのどを鳴らしてグラスを傾けて、
どことなくうれしそうに笑って、でも、
そんなことない。わたしなんて。
と、言った。
わたしは、もう少しだ、と思ったので、
あなたは、身体の線もとってもきれいだし、会話だって滑らかだし、あなたの恋人がうらやましいくらい。
と、言った。
友人は、いよいようれしそうにして、指をとんとんと鳴らし始めた。
と思ったとたんに、顔を崩して、
わたし、振られたの、彼に新しい彼女、なんでも持っている人なの。
と、泣いていた。

彼女は、(わたしたちは)、な
[次のページ]
戻る   Point(6)