空と風船/草野春心
身構えないで
かなしみは空のように
僕たちとともにある
あるときは透明に
あるときは責めるように
手放さないで
よろこびは風船のように
気をぬけば飛んでゆく
いつか萎んでしまっても
ぜったいに放しちゃ駄目だよ
新聞のかたすみや
川のむこうで起こっている
大きなことや小さなできごと
僕らはみんな知っている
それでも
笑むことだけは絶やさないで
夕暮れどき
ひとびとの歌声が
それぞれの方向に浮かんでいる
名づけないで
奪わないで
よろこびもかなしみも
すべてが僕らの歌なんだ
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