景色のどこかで思うこと/番田
あまり覚えていない友達のことなど、私はいつも忘れた。私は自由でいたかったし、時の流れをいつも感じていたかった。単純肉体労働など、嫌気が差してやる気などおこらなかった。それだけは私が私であることの選択の自由なのかもしれなかった。誰にもできないような、細かな計算式を頭の中にいつもめぐらしていたい。そしてまた、ぼんやりと時が流れていた。誰が何と言おうと、流れていないのは私の頭の中に膨らんだ妄想だけ。私はその中に広がっていく波紋を追いかけた。蛙や、魚の泳ぐ影を取り巻きながら外へ外へと広がっていく、見慣れた川の波紋の色たち。
絵画や音楽といったものがすでに過去のものとなった今の世の中でも、時折
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