ひとり ひびき/木立 悟
 





ない花の
ない花言葉
曇と光に
隔てられる朝


あなたには誰もおらず
聞き耳をたて
鼓動はひとつ
あなたしか あなたにはおらず


雨の羽虫
水に映らない
花は鳥を向く
鳥はすぎてゆく


あめつち
流氷 ひとつ忘れて
あかつき 手のひら
もっと上へ


暮れの道
むらさきの音
どんな夜が来るかもしれず
このまま夜は無いかもしれず


息が弦の
弦が息
忘れることのない夢の
つづきにめざめ ふたたび積まれ


水紋のあなたが立ち上がり
夜の横顔をすべらせるとき
映せるものと映せぬものとの
骨の数の決
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