無題/吉澤 未来
 
歴史的モジュールの
中にある形骸化した城には
赤い血が残された

飛び散る悲惨さ

私を忘れた王が
「あなたがた・・・」
と叫ぶ

「あなたの中に何もないだろう」

人々はそう思う

食い違う離脱した観念

王もそう思っていたのだから

肉体は叫び
精神に飛び散った血が
身体の中に入ってくる

王の血を飲んだ人々には
精神に宿る肉体が信じられない
その逆も

私は私であると同時に
私でしかないあなたを
道連れにして生きて行きます

「私」には
何のことかわからない

悲劇は絶望に
喜劇
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