無題/吉澤 未来
歴史的モジュールの
中にある形骸化した城には
赤い血が残された
飛び散る悲惨さ
私を忘れた王が
「あなたがた・・・」
と叫ぶ
「あなたの中に何もないだろう」
人々はそう思う
食い違う離脱した観念
王もそう思っていたのだから
肉体は叫び
精神に飛び散った血が
身体の中に入ってくる
王の血を飲んだ人々には
精神に宿る肉体が信じられない
その逆も
私は私であると同時に
私でしかないあなたを
道連れにして生きて行きます
「私」には
何のことかわからない
悲劇は絶望に
喜劇
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)