黄金の牛(更新中)/みつべえ
足もとに。それでも神は顔色ひとつ変えず、おもむろにその眼球をひろいあげると、血だらけのジェルの眼窩にはめこみ、また息を吹きかけました。すると、みるみるうちに飛散したはずの血や脳漿が逆流して、もとのサヤに収まりました。
彼はふたたび生気を取りもどしたのでした。
「い、いったい・・・?」
ジェルは上体をおこすと、自分がまだ生きていることに強いショックをうけました。そして神の存在にはじめて気がつきました。
神はやおら立ち上がると、厳かに言いました。
「人間よ、なぜ死に急ぐ」
ジェルは驚きで頭が混乱して口をぱくぱく開閉させるばかり。
「人間よ、『完全なるもの』の真意が奈辺にあったのか今は
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