黄金の牛(更新中)/みつべえ
山にたどりついたときには、身も心もぼろぼろになっていました。
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神は岩山の下で、一人綾取りに興じていました。すぐ近くで鈍い落下音がしたので、その方へ行くと、岩場に全身血まみれの男がころがっているのを見つけました。話の都合上、その男というのは、もちろんジェルのことです。
神は死骸のそばにしゃがむと、その死に顔にふっと息を吹きかけました。その所作はどうも愛とか憐憫とかの類いではないようです。いってみれば、神自身がもっている機能の条件反射、というようなものなのでした。案外それが人間たちが「神の慈悲」と呼ぶものの正体なのかもしれませんね。
たちまちジェル
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